「マチルド、翼を広げ」★★★☆☆

Forestには、映画のこととなると非常に頼りにしている、とってもシネフィルの後輩がいます。前職で一緒だった彼女は一回り以上も年下なのですが、大学で映画を学んだだけあって、特に古いヨーロッパ映画&日本映画についての知識がハンパありません。

 

いつも見終わった後に、鋭い批評と監督や俳優に関する情報を教えてくれたりするので、定期的に一緒に映画に行くことにしてます。

2019年最初に選んだのは、フランス映画「マチルド、翼を広げ」。

http://www.senlis.co.jp/mathilde-tsubasa/

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後輩は監督の前作「カミーユ、恋はふたたび」を絶賛していて、「マチルド〜」も絶対観に行くつもりだったとのこと。

まあ、そういうことなら。。。と、新宿シネマカリテにお付き合いしたわけですが、スクリーンに映し出された配給会社のロゴ見て、「あれ!これって友人Tさんの会社だよ!」ということに気づきました。

 

ここでTさんについて一言。

 Forestが25歳の若かりし頃、働いていた映画関連会社(買い付け、配給など)の同僚だったTさん。その後、間もなくしてこの会社の社長が失踪。連日、借金取りの電話がかかってくるようになり、  Forestは退職。

しかし、Tさんは別の社長の元で再生したその会社に籍を置き続け、様々な荒波を乗り越えてきました。本当に苦労人で、いつ会っても大変そうな姿ばかりだったな〜と。

 

そのTさんと昨年10月、出張先のカンヌTVマーケットで数年ぶりに再会。

独立されたとは聞いていましたが、その後順調で、次回の配給作品なんだよ〜と試写状を頂戴したのが「マチルド〜」だったのだ!

すっかり忘れていた〜。

偶然とはいえ、Tさん配給の映画観れて良かった〜と安堵に胸をなでおろしたForest。

 

で、肝心の映画ですが、ファンタジックなキーアートとタイトルに騙されてはいけません。これは精神の病を抱えた母親と、娘マチルドが幼少期から少女になるまでの「母娘愛」の物語だったのだ!

 

なんかね〜、案外と重たいストーリーでした。

最初から「あれ?お母さん、ちょっと病んでる?」と思いつつも「フランス人的な、ちょっと変わった会話するお母さんなのかも?」と自分を納得させつつ観てましたが、やっぱりママはどんどんおかしくなっていってしまうのですね。

キーになるのは、ママがマチルドにプレゼントしてくれたフクロウ。

彼はマチルドとだけ会話ができるのです。そして、ここぞという場面で彼女を助けたり、知恵を授けたりする存在。ママが病んでいく姿を目の当たりにしつつも、幼さ故に何もできないマチルドの、唯一の話相手なのです。

 

フル尺も100分以下とコンパクトながら、前半はちょっとかったるくてウトウトしてしまった。奇行を繰り返す母親が何を意味するのか?物語の行方が全然見通せなくて、イライラする場面もありましたが、後半からエンデイングにかけて、ググッと引き寄せられましたね。

ともかく隣の席で、後輩がポロポロと涙を流しているわけですよ。

なんかそれ見てたら、Forestももらい泣きしちゃった(笑)。

非常にフランス的な映画でした。

同じ題材でも日本ではこういう映画は生まれないだろうな。

母と娘のコミュニケーションが「詩作」ですよ!

さすが哲学の国フランス。

こういう文化的差異を学べるので、やっぱり映画は止められませんな。