No Limitation!

ソウルに来ると仕事関係なく、いつも連絡して会う友人Sがいる。

最初の出会いは2006年。

当時SはShowboxという韓国大手の映画配給会社の敏腕セラーで、

Forestの会社はShowboxから沢山の映画を買っていた。

日本公開時のプロモーションで俳優を招聘すると、いつもアテンドで来てくれたのがS。

英語力はもちろん、頭の回転の良さ、その場を和やかにする笑顔と気配り、

トラブル対処能力、そして何より豪快な酒量(笑)と、どれをとっても一流で、「Sが来る」と聞くと「じゃあ安心だね!」と、当時の同僚たち皆がホッとしていたのを思い出す。

ともかく何か問題が起きても、Sがいるなら大丈夫!という、絶大な信頼を集めるひとだった。今公開中の映画「ベイビー・ブローカー」にも出演しているカン・ドンウォンとも一緒に来てくれたっけ。良い思い出が沢山ある。

今はShowboxを辞めて、とある有名女優の事務所役員に収まっている。

やっぱり彼女は人が好きで、見込んだ俳優や映画のために尽くすのが好きなんだな。

Forestと直接の取引はなくなってしまったけど、会うたびにその満面の笑顔とユーモアに癒される。

今回も「久しぶりに行くよ」と連絡すると、「大学路で実験的な演劇を観るんだけど、一緒にどう?」というお誘い。常にアンテナを張って、話題になっている映画や舞台を見逃さない姿勢も見習うべきところだなあ。

 

「売り切れ必須」というチケットを購入して頂き、演劇「THEヘルメット」を観た後、コロナ後にすっかり夜が早くなってしまった大学路の、Sお気に入りの居酒屋で一杯。

 

お互いに最初に出会った会社から離れて、それぞれの道を歩んでいる。

年齢はForestよりも6歳下だけど、ドラマや映画などのエンタメが大好きで、かつ仕事も好きで・・・さらには独身(笑)という共通点もあって、話は尽きない。20代だった彼女がもう40代になってしまったからね。いや~、時が経つのは・・・とか言いながら、ちびちびと韓国焼酎を飲むという、典型的な中年の行動(笑)。

 

そんな中、Sの一言で印象に残ったこと。

「今の会社は組織が大きいから、私ができるのは一部分だけ。他は別の部署に繋がなくてはいけない。全部を一人で出来ていた前職と違って大きなストレス」というForestの話を、じ~っと聞いていたSが放ったのが、「Forest。あなたは自分の仕事にLimitを設けない方がいい」という一言。

 

「え?!」って思ったけど、すぐに納得した。ほんとにその通り。

Limitを自分で設けた途端、その狭い囲いの中での発想、動きしかできなくなるし、しようとしなくなる。「これは自分の仕事じゃないから。やらなくていいや。」という意識が芽生える。Forestはもっと自由に動きまわりたい人間なのだ。会社はLimitを課していないのに、Forestが自分で作り出していた。。。

 

はっ!と気づいたらお店の人に「1時で閉店です~」と退席を促された。店に入ったのは11時前。ほんの1時間くらいで出る予定が、あっという間に午前1時を回ってた。それだけ話に夢中だったのだろう。

時に外国人であることを忘れるくらい、Forestの置かれている状況、気持ちを察してくれるS。やっぱりソウルに来るたびに会いたくなってしまう人の筆頭株だ。

 

多くの友人・知人との出会いを与えてくれた前職には本当に感謝しかない。そしてその人間関係を維持していくことが、もっと重要だと思う。