「再会の食卓」★★★☆☆

台湾に逃れた元国民党兵士の夫と行き別れた妻。

その後、台湾、上海とそれぞれの地で家庭を持っていた2人が40年ぶりに再会する。

元夫は妻を台湾に連れて帰ろうとするのですが…。

ベルリンの銀熊賞(最優秀脚本賞)を受賞したそうな。

同監督の前作「トゥヤーの結婚」が結構好きだったので、かなり期待して臨みました。

やっぱり中国ってスゴイ国ですよね。

同民族の分断(中国、台湾)、行き別れた肉親たち、そして中国に残された家族の文革時代の苦難…と、過酷な歴史を誰しもが背負っているのがスゴイ。

まさに国と時代に翻弄され続けたとい表現がピッタリです。

40年ぶりに帰ってきた元夫を手厚く歓待する現在の夫。

台湾に逃げた国民党兵士の妻と結婚したが故に、自分は軍人としての出世もできず、造船会社の溶接工で終わったと語るシーンにはグッときました。

それでも、前夫との子供を抱えて、一人途方にくれる彼女を放って置けなかったと。

きっと彼は、今までこのことで妻に恩を着せたり、偉ぶったことはないんでしょう。

類まれなる優しさと広い器を持った善人として現在の夫は描かれています。

妻が「私も一緒に台湾に帰ります」というのも快く承諾。

「へ?それでいいのか?」とForestの方が当惑してしまいました。

ネタばれになるので、あまり詳しくは書きませんが、3人がいつも一緒に囲む食事のシーン。

かなり美味しそうで食欲が刺激されました♪

直箸で、お互いにおかずを取りわけてあげるのは、韓国も同じですよね~。

中国の夫の口癖「私は食欲が旺盛でよく食べるんだ。食べると力が出る。さあ、もっと食べなさい」には、こちらまで心が温まりましたね。

「よし!Forestも食べるぞ~」みたいな^^:

でね、上の写真ですが、3人が歌うシーン。

これは別れの食卓でもあるのですが、元夫が中国の夫に「彼女と出会った頃の思い出の曲を歌ってもいいか?」と。「俺もこの曲は知っている!」となって3人で一つの曲を唱和するんだよね。

泣けたな~。くううう~(涙)。

それぞれが、言葉には表現できない苦難の40年を送ってきたはず。

行き別れた夫、妻の身を案じながらも必死に生きてきたんでしょうね。

国と時代に引き裂かれた3人が40年ぶりに歌っている…ということが、ホントに感動的というか。

埋められない時間への恨めしさとか当然あると思うんですが、誰をとがめることもなく、こういう笑顔で笑い合える彼らの人間的度量の深さ!

やっぱり抱えているモノが違うな、日本人とは。

そりゃあ強いはずだよ、中国人…。