「マイ・ブラザー」★★★★☆
アフガニスタンで戦死したと思っていた夫が帰還した…でも全く別人のようになって。
復員した兵士とその家族なら、きっと多かれ少なかれ、こうした問題を抱えているはず。
戦地に赴くのが仕事であるという過酷な兵士たちの運命に思いを馳せずにはいられなかった。
トビー・マグワイア、童顔だから実感ないのですが、撮影当時なんと34歳。
弟役を演じるジェイク・ギレンホールより歳下じゃ~んと思っていたのですが、全然お兄さんでした^^;
老け顔のジェイクは何と29歳。そんなに若かったのか。失礼しました。
良き夫、良き父親、また同じく軍人だった父親にとっては自慢の息子だったトビーですが、アフガニスタンでタリバンの捕虜になり、共に捕虜となった兵士の殺害を強制されるという悪夢のような経験をします。
あ~、このくだり、最悪だった。ホントに。
もちろん自分の命との二者択一を迫られての状況だったのですが、Forestだったら自分が殺された方がましだな~。
だって殺さなかったところで、絶対に同僚も自分も殺されるもん。
一生良心の呵責に苛まれるよりは、とっとと殺してもらいたい!
トラウマを負って帰ってきたトビーが、日常生活に馴染めないのは当然です。
あれほど愛していた妻や娘にも違和感を覚え、弟と妻がデキてるという疑いが消えない…。
アメリカは帰還兵に対してきちんとセラピーを施しているもんだと思ってましたが、この精神状態じゃ一生を棒に振っちゃうな~。この映画観たら、子供を戦地に送ろうなんて思う親はいなくなっちゃうね。
トビー、ナタリー・ポートマン、ジェイクの熱演で、ズッシリ~と重たい映画でした…。
特に驚いたのはトビー君かな。
スパイダーマンのイメージが強かったけど、Forestの大好きなアン・リー監督の「アイス・ストーム」でも鮮烈な印象を残していたし、ホントに演技が上手な俳優なんですよね。
ルックス的にはどうしても好きになれませんが。
監督は「マイ・レフト・フット」でデビューを果たし、「父の祈りを」など社会派の作品を送り出してきたジム・シェリダン。アイルランド人の彼だからこそ、アメリカを俯瞰したこの映画が撮れたのかと納得。