「トスカーナの贋作」★★★★☆

この週末からフィルメックスが始まり、精力的に映画を観ております。

祝日の今日も、この一本からスタート。

イランが誇る世界的監督アッバス・キアロスタミによるラブストーリー。

主演のジュリエット・ビノシュは本作で、今年のカンヌ主演女優賞を受賞。

イタリアのトスカーナを舞台に、イギリス人の美術史作家と、骨董店を営みながら年頃の息子を育てるフランス人女性が出会います。

2人は赤の他人で、初対面だろう…という思い込みが、中盤でひっくり返り、実は15年連れ添った夫婦であることを匂わせつつ、物語は進みます。

イギリス人作家を演じるウィリアム・シメル。

匂い立つようなダンディぶりと、ブリティッシュアクセントの英語が何とも色気たっぷり。

一体このハンサムな中年男性は誰なの?と調べてところ、何と本業はオペラ歌手!

どうりで声が良いはずだ~。彼のオペラ観てみたい!

キアロスタミ、良く彼を見出しましたね~。さすがです。

2人以外は、素人の登場人物ばかり。

でもトスカーナに住む素朴なイタリアのおばちゃんが何とも良い味出しているんです。

上映後に監督がお出ましになり、観客との質疑応答タイムになりましたが、ステージ上に上がるのを拒んだり、ライトが当たるのを注意したり、質問を煙に巻いたり…と監督自身のお人柄も、彼の映画と同じく、かなり複雑怪奇とお見受けしました。

監督曰く、「2人が本当の夫婦なのか?それとも夫婦を演じているのか?ということは重要でなく、男女間の永遠に解決されない問題を描いた」とのこと。

イランの映画監督がイギリス人とフランス人俳優を使って、イタリアで映画を撮る…こんなインターナショナルなプロジェクトが可能なのも、世界的な名声を得たキアロスタミならでは。

次回作は日本で撮影を予定しているそうで、こちらも楽しみです。

最後に余談ですが、監督のペルシャ語通訳をしたイラン人女性、日本語が完璧すぎて驚きました(汗)。

どこにでもいるんですね、日本語が堪能な外国人って。凄かったな~。

感心致しました。