「闇の列車、光の旅」★★★★☆

2009年サンダンスの監督賞受賞作。これが長編第一作となる日系人のフクナガ監督は、実際に不法入国を目指す移民たちと共に列車の屋根に乗って旅したり、入念なリサーチをして撮影に臨んだそうです。

闇の列車

中南米はForestが全く足を踏み入れたことのない未知の場所。映画でその風景や風俗を目にすることはあっても、「危険で貧しい」というイメージが大きかった。

ホンジュラスから父と叔父と共にアメリカを目指す少女マイラ、そしてメキシコギャングの青年ウィリーは、この命を賭けた旅の途中で出会います。

映画の冒頭で、ウィリーの所属するギャング団の極悪非道ぶりが語られるんですが、メキシコってこんなに恐ろしい国なんですかね???ギャング団同志の殺し合いなんて日常茶飯事。まだ12,3歳の少年に敢えて敵を殺させたり、ここは戦場か?と驚愕。とても住める国じゃないわ…。

本当は心優しい青年のウィリーはギャング団に馴染めない。で、マイラをレイプしようとしたボスを殺してしまったが故に、組織全体から狙われてしまう…。

列車の行く先々で彼を待ち伏せしているギャング達とウィリーの攻防戦にハラハラ~。

それにしても、これだけ大変な思いをしてアメリカを目指す人々がいるだなんて。今この瞬間にも、漆黒の闇の中を、列車の屋根にへばり付いて旅をしている人々がいると思うと、いかに自分が平和で安穏とした暮らしを送っているか、思い知らされます。

不法移民をテーマにした映画は数多くありますが、Forestの中でハズれることが少ない。

それだけリアリティを持って迫ってくる作品が多いからでしょう。

本作も、その秀作達の中に名を連ねました。