「潜水服は蝶の夢を見る」

来週の金曜日で終わってしまうとあって、日曜最終回(シネマライズは1000円なのだ)に行ってきました。「トゥヤーの結婚」の後だったせいか、またもやところどころ睡魔が・・・。一緒に観た友達は最初っから爆睡してましたが(笑)。観終わった後に無理やり感想を述べ合いましたけど、2人とも超おぼろげで話しにならなかったですね!

42歳という働き盛りに突然の病に倒れ、身体の自由を奪われてしまったELLEの元編集長ジャン=ドミニク・ボビーが、全身の中で唯一動く左目の瞬きだけで綴った奇跡の自伝ベストセラーを映画化した感動ドラマ。

潜水服は2

この写真をご覧頂ければ分かるように色がとっても綺麗です。フランス映画(スペイン映画もそうかな)は、ダントツに色彩感覚が優れていますね。小さい時から自分で着る服は自分で選ばせるそうですから、色のセンスも磨かれるんでしょう。

体の自由を奪われた人物を描いた映画としては「海を飛ぶ夢」がありましたが、彼は少なくとも話すことが出来ました。意識があるのに言葉を発することもできない・・・この状況は想像を絶するほど辛いものです。なにせ死ぬこともできないんですから。絶望して自暴自棄になろうにも、その術がないというのが本当に辛い。

でもジャンは「僕は自分を憐れむのをやめた」と宣言するのです。そして想像力でどこまでも飛んでいく。想像の世界では、彼は食べたいものを食べ、行きたい所に行けるのです。

自伝を瞬きで書き綴るという行為の影には、言語療法士と彼の言葉を辛抱強く書きとめた編集者の協力がありました。彼らの存在なくしては、ジャンはただの植物人間となっていたかも知れません。生きる目的を与えてくれたのが、瞬きという手段による自己表現だったのでしょう。

著書は3人の子供たちへ「沢山の蝶と出会うように」という言葉で締め括られています。出版から10日後に彼は亡くなりましたが、想像力の素晴らしさと無限の可能性を、残された子供たちには伝えることができたでしょう。