「トゥヤーの結婚」

舞台は内モンゴルの草原。若い人妻が下半身不随の夫と一緒に暮らすという条件で再婚してくれる相手を探す・・・という結構ヘビーな題材。ちなみに2007年ベルリン国際映画祭金熊賞グランプリ受賞作です。

トゥヤーの結婚

「そんな奇特な再婚相手が見つかるのかい!?」と日本人の常識では思うんですが、そこはモンゴル!何でもありです(笑)。トゥヤーが若くて美人ということもあるのでしょうが、続々と求婚者が登場します。なんか・・・羨ましいんですけど(笑)。

10年近く前にモンゴルに行ったんですが、まさにトゥヤー達が生活しているような草原でホームスティ(?)だったんですよね。毎日な~んもやることがなくって、ひたすら羊の絵を描いていたなあ・・・と懐かしく思い出しました。しかし、あそこで暮らすのは本当に過酷だよ~。私も滞在中は一回もお風呂に入らなかったのですが、水がとっても貴重なんですよね。だから料理した後の鍋とか皿も洗わないで、拭いていた記憶が・・・。水汲みで腰を痛めるトゥヤーの重労働、よく分かります。

でも強いんだ、このヒロインが。モンゴルって男尊女卑の風潮が未だ強いのかと思いきや、トゥヤーはきちんと自己主張するし、夫のことも厳しく叱る。でも泣き言や愚痴は言わないんですよね。すごく一本筋が通っていて、見ていて爽快でした。これは頼りになる嫁だわ(笑)。

ああいう厳しい環境で生きていくためには、自分が強くないとだめなんでしょうね。水道の蛇口をひねればお湯も水もいつでも出てくるという恵まれた暮らしをしている私たちには、想像し得ないような不便な生活に見えますが、そこで暮らす人々は確実に我々にないものを持ってますね。

しかしモンゴルを舞台に、こういうテーマの映画を撮ろうとした製作陣がすごいですね。久々に素敵なヒロインに出会いました。そしてなかなか実際に行くことはできない内モンゴルの暮らしを見るのにはうってつけの作品です。映画を通じて見知らぬ国の文化を知る---これこそが醍醐味でしょう。