「Ricky」★★★☆☆
これが2010年の映画納めになるのか?
年の瀬も迫った30日にル・シネマにて鑑賞~。
Forestの好きなフランソワ・オゾン監督作。
彼の作品は「焼け石に水」「まぼろし」「スイミング・プール」なんかが素晴らしいですね。
最近はちょっと毒気が抜けてしまって物足りない感じがしてましたが、さて本作はどうでしょうか?
工場労働者の低所得者カップルにリッキーという子供が生まれます。
丸々と太って可愛いこの赤ちゃんには実は秘密が…。
それは背中に羽(それもすっごいリアルな、鷹の羽みたいな仰々しい羽!)が生えていること!
目を離すとパタパタと飛んで行ってしまう彼を、家族は必死に周囲の目から隠そうとしますが、ある日スーパーで飛び始めた彼は公衆の目に晒され、マスコミの格好の標的になってしまうと。
最初は痣程度だったリッキーの背中からニョキニョキと羽が生えてくる様子がグロい!
「この映画、どういう方向に行くんだろう~?」と、ちょっと困惑するForest。
簡単に言うと「赤ちゃんが空に飛んで行って、新しい家族が誕生。万事めでたし、めでたし」という、観客を完全に置き去り(笑)、力技で展開するぶっ飛びストーリーです。
ある評論家が「超現実主義(シュールリアリズム)の国フランスの映画らしい」と書いてましたが、まさに言えて妙。ある意味、映画でしかあり得ないストーリー。良いんじゃないでしょうか?
一番リアリティを持って描かれていたのは、工場勤務の低所得者層の男女の暮らしぶりかな~。
カウンシルハウスみたいな団地に住んで、ひたすら工場と家を往復する、何の楽しみもない生活。
その中でちょっと色目を使われた男とすぐさま関係を持つシングルマザー(しかも、場所は工場のトイレだよ…)。7歳の娘がいるのもお構いなしで、男を連れ込むデリカシーのない母親には、ゲンナリしましたが。
でも、現実の彼らの生活ってそんなもんなのかもなあ~。
そこだけが妙に真に迫っていたなと。
しかし、オゾンってとってもイイ男なのに、ゲイちゃんなのが惜しいね~。
最新作の「しあわせの雨傘」も観て観ようと思います。