「セラフィーヌの庭」★★★☆☆

セザール賞7部門を独占したフランス映画。ずいぶん前にチケットを頂いていたのに、岩波ホールまで足を運ぶのがどうにも億劫で、結局はラスト1週前にギリギリ鑑賞。

日曜日の昼下がり。劇場は中高年の男性&女性で大混雑してました。

恐るべき、岩波ホール

1900年初頭、家政婦として生計を立てながら「神のお告げ」に従って、絵を描き続けるセラフィーヌ。彼女の才能を見出したドイツ人画商ウーデは、無償援助を申し出るのですが、やがて第一次大戦が2人を引き裂いて…。

ネタばれになってしまいますが、夢だった個展の開催を世界恐慌によって阻まれるセラフィーヌ。ショックのあまり気が触れてしまい、精神病院に隔離されたまま、一生を終えるんですね。

何ともまあ救いのないお話というか…。

昔は、ちょっとでもおかしな行動をした人物は、病院に閉じ込められて、まともな治療も受けられず(というか治療法すら確立してなかったんですよね)ますます病んでいったんでしょうね。

生きがいだった絵を描くという行為すら許されず、彼女はどんなにか辛い思いをしたでしょう。

一緒に観た友人も言っていましたが、画商ウーデがセラフィーヌを鼓舞(「君の絵は素晴らしい!個展を開こう!」)しなければ、彼女は一生貧しくとも、神と自然と対峙し、ひっそりと自分の満足のために絵を描き続けられたような気がするのです。

一瞬でも夢を見られた方が幸せだったのか?それとも、誰にも見出されずとも、絵を描く幸せを奪われない人生が良かったのか?…と思わずにはいられませんでした。