「告白」★★★☆☆

大ヒット御礼の話題作。中学生を主人公にしていながらも、過激な内容でR-15となったのが何とも皮肉です。

告白

別々の人物による「告白」という章立ての原作を、どう映像化するのか?に興味がありましたが、見事な脚本と構成でまとめています。ユニークな映像と音楽使いでエンターテインメント性を加味し、一瞬たりとも観客を飽きさせない---中島哲也監督の手腕には脱帽です。

映画としての完成度はかなり高いのに、手放しで「面白い!」と誉められないのは何故なのか?

それは、この映画が描こうとしているものが何もない…からです。

確かに今の中学生は、生意気で、なお且つ荒んでいるのかも知れない。

で、仮にこういう犯罪を思いついた生徒がいたとして、教師が更に手の込んだ復讐を果たすと。

読み手、あるいは観客を次々と裏切る衝撃の展開はスリリングですが、ただそれだけ。

読後(鑑賞後)に余韻というものが全く残らない。

「あ~、面白い映画みたね、怖いね~、今の中学生って」という感想で終わり。

原作モノの映画化としては素晴らしい出来、だけれども原作の薄っぺらさは映画になっても同じなんですよね。

しかし、こういう小説&映画がベストセラー&大ヒットって、正直ヤバいんじゃないかと思います。

読み終わった後もずっと頭から離れなくて、生涯で何度も読み返したりしたくなるような物語じゃないことは確か。

「その瞬間が楽しければ良い」という刹那主義が日本人に蔓延しているような気がして、何とも不気味です。

ひとつだけポジティブなことを。

クラス委員の女子中学生を演じた橋本愛ちゃん。1994年生まれの14歳!

元々モデルらしいのですが、将来女優として大成する予感。

すごい目ヂカラで、彼女に釘つけでした。