「インビクタス/負けざる者たち」★★★★☆

1995年のラグビーワールドカップ。弱小チームだった開催国・南アが優勝を果すまでの感動の実話。

インビクタス

これが実話だというのだから、驚きます。

マンデラ氏の大統領就任、そしてアパルトヘイトの撤廃後も根強く残る人種の垣根。

それを取り払うには、自らを投獄し、27年もの間、自由を奪った白人たちへの恩讐を捨て去るしかない。

それしか南ア再生の道は残されていないのだ!という信念の下、「ラグビー」を平和の象徴とすべく、ナショナルチームの主将フランソワ(マット・デイモン)に訴えるマンデラ氏。

マンデラ氏が収容されていた独房を見学したフランソワは、かろうじて両腕を広げられるほどの僅かな空間で、信念を保ち続けた氏の偉大さに圧倒されるのです。

そしてマンデラ氏が、試合前のフランソワに渡した自作の詩。

これがまたいいんだわ~。Forest、ここで漏れなく号泣。

「神に感謝する。自らの信念を保つ魂を与えてくれたことに。

私こそが自分の魂の支配者。運命を司る者」

というような内容だったのですが、自分がもし、27年間も(それもいつ出てこられるとも知れない)捕われの身となったら、果たして正気でいられるでしょうか?

考えただけで気が狂いそうですが、彼はそうはならなかった。

インビクタス」と題された、この詩によって常に魂を磨いていたのです。

彼の苦悩、そして孤独と絶望は想像を絶します。

ナショナルチームからプレゼントされた緑のキャップを被って決勝の舞台に現れたマンデラ氏。

そして事前に選手の名前を全員暗記しておくという、人心掌握術。

彼は正に「南ア」という国(会社)を率いる名将(社長)なんだと思いました。

ただ、イーストウッドらしさは、あまり感じられなかったな~。

圧倒的な事実の前に、彼の演出の腕も鈍ったのでしょうか?

まあ、誰が撮っても、既に題材がドラマティックですからね~。

あ~、あの詩のシーン、思い出すだけで泣けてくるForestでした。