「扉をたたく人」★★★★☆

全米で4館という小規模公開で始まったものの、最後には270館にも拡大。主演のリチャード・ジェンキンズは、アカデミー主演男優賞にもノミネートされるという快挙を成し遂げたインディペンデント映画。

扉をたたく人

妻に先立たれた孤独な大学教授が、ジャンベ奏者のシリア人青年と知り合い、生きる意味を再び見出すという感動ドラマ。さすが低予算だけに地味な作りですが、なかなかどうして。これが非常に拾い物だったわけです。

このシリア人青年役の俳優が素晴らしいのだ!何と言うか非常に澄んだ目をしていて、堅物の教授がなぜだか心を許してしまうのが良く分かる。人懐っこい笑顔に真っ白な歯。そして楽しそうにジャンベを叩く姿。ただ彼は大好きな音楽を奏でながら、愛する人々と自由に生きたかっただけなんだよね。でも不法滞在者だというだけで、そのささやかな願いは叶えられない。切ないです・・・。

最後、行きどころのない怒りをぶちまけるように、地下鉄でジャンベを叩きまくる教授には泣けました。

原題は「The Visitor」。ふいの訪問者が、退屈で変化のなかった教授の人生を変えていく。誰もが自分の心の扉を叩いてくれる「訪問者」を待っているんだろうな~。