「チェイサー」★★★☆☆

雨足が急に強くなった金曜の夜。こんな陽気に観る映画じゃなかったことだけは確かです・・・。

チェイサー

デビュー作にして韓国の映画賞を席巻し、すぐさまハリウッドでのリメイクも決定した驚異の新人ナ・ホンジン監督による衝撃のクライム・サスペンス。風俗店を経営する元刑事と連続猟奇殺人犯との緊迫の攻防を、巧妙な脚本とパワフルかつスピーディな演出でスリリングに描き出す・・・。

観客には最初から犯人が分かっている。早々に犯人を逮捕しながらも、取り逃がしてしまう警察のていたらく。そして落ち着いて状況を説明し、警察に助けを依頼すれば犯人確保ができたはずなのに、とことん一人で追おうとする元刑事。

血の気の多い国民性と片付けるのはあまりにも簡単です。観る者を終始イライラさせるのが本作の目的の一つであることは確か。思い通りには運ばない現実、必ずしも正義が勝つわけでない実社会の不条理さ・・・そんなものをまざまざと見せつけられます。

オールドボーイ」並みの残虐シーンを覚悟していたけど、実際にスクリーンには映し出されません。音で想像させるその演出は巧みというべきなのか?最初っから耳と目を塞ぐシーンの洗礼を受け、ぐったりしてしまいました。

予定調和で済まないリアリティ溢れるストーリー。ハリウッドではレオナルド・ディカプリオがリメイクするとか。勧善懲悪、ハッピーエンドを定番とするハリウッドが、この救いようのない話をどうやって映画化するのか?アメリカンニューシネマって、こういう何とも言えないオープンエンドの映画が多かったのだけど、時代が回帰しているのでしょうかね?

確かに緻密な演出と疾走感溢れる演出で魅せます。でもね、映画を観てる間だけでも幸せな世界を夢想したいなと思い始めたForestはもう歳なのでしょうか?

金曜の夜に観るにはあまりにも暗い~お話でした。脱力・・・。帰りの夜道が怖かったです。