「フロスト×ニクソン」★★★☆☆

オリジナルの戯曲と同じ脚本家、キャストで映画化。脚本は「ラストキング・オブ・スコットランド」「クィーン」「ブーリン家の姉妹」のピーター・モーガン。彼はアカデミー賞に俳優を絡ませる名人ですね~。それにしてもこれだけ毛色の違う作品を手掛けてるって、ホントに才能ある脚本家なんだな~。

フロスト

そして忘れちゃいけないのが監督のロン・ハワード。「天使と悪魔」のようなザッツ・エンタメを撮ってるだけじゃないのね。いや、エンタメ大作を沢山撮ってきた彼だからこそ、フロストとニクソンのインタビュー、それを取り巻く人間たちという地味なテーマをこれだけの娯楽作に仕上げられたんだろうと思う。

名うてのプレイボーイである名物司会者フロスト君。彼がアメリカショービズ界へのパスポートを得るべく、ウォーターゲート事件で謝罪の言葉なく辞任したニクソンのインタビュー番組を撮ろうとする。傍目にはチャラチャラしてるだけに見える彼なんだけど、最終インビューの前夜に掛かってきたニクソンからの電話が、フロストのインタビュアー魂に火をつけたのでした。

多分にフィクションの要素が多く含まれていると思う。でも「イタリア製の紳士靴」のエピソードとか、要所要所で心憎い演出が効いてるんですよね。これは脚本の一人勝ちでしょう。

アメリカの歴史に汚点を残した元大統領ニクソンと、彼の心の闇を暴こうとしたフロスト。国も年齢も立場も、そして性格も全く違う2人の対比で魅せる大人のための娯楽作です。