「Paris」

日本人は「パリ」が大好きなんですね。満員御礼の客席を見ながら、改めて実感。確かに何をやっても絵になる街です。一生に一度でもあの街に住む幸運に恵まれたいなと思います。さて、そんな世界で最も美しい街の一つパリを舞台にした群像劇。

古くは「猫が行方不明」「百貨店大百科」、そして「スパニッシュアパートメント」で知られるセドリック・クラピッシュ監督にしては、暗いお話。心臓病を患い、ドナー提供者を待つばかりの日々を送る青年が主人公。彼を取り巻く人々の日常が、彼らのバックグラウンドなど全く説明なしに描かれます。

「彼女にはこんな過去があるのかな?」「彼のトラウマは何かな?」と、想像を働かせながら観るのが正解の余白たっぷりの映画。登場人物が多い分、散漫な印象は否めません。ツッコミどころも色々とありますが、「ま、パリだからいいか!」と納得してしまう。

それにしても不治の病に冒されていたり、離婚した元奥さんが交通事故死したり、3人の子供を持つシングルマザーだったり・・・と様々な現実を持つ登場人物たちに共通すること---それは彼らが常に恋愛に積極的ってこと。実際にあんなにすぐ相手が見つかるのかは疑問ですが、自分の年齢、立場、容姿を全く気にせず、ともかくいつもイイ男、イイ女を探している。そして、ちょっとでも「いいな」と思う人がいれば、即誘う!みたいな。ワン・ナイト・スタンドの相手には事欠かない国ですよね。私も以前にパリのバーで、かなりモテモテだった・・・という稀有な経験を思い出しました。一緒に行ったパリジェンヌの友人が「日本人の女の子は、フランス人に超モテるんだよ」と言ってましたが、あの時に引っ掛かっていれば、出来ちゃった結婚も狙えたのかも・・・としばらく夢想しましたね。

ともかくパリの魅力に溢れた映画。マルシェで買い物するジュリエット・ビノシュが羨ましい!でも、彼女、等身大の役だけあって、髪の毛ボサボサ&服はダサダサでした。数々の男優と浮名を流したかつての美貌はいずこ?