「その土曜日、7時58分」

原題は「Before the devils knows you're dead」。邦題に配給会社の苦心の跡が見受けられます。要は「お前が死んだと悪魔が気づいたら、絶対天国に連れて行ってもらえない。だから早く天国へ行かなきゃ~。」という意味が込められてるわけですね。

その土曜日

名匠シドニー・ルメット監督の最新作とあって、名優たちが顔を揃えています。それにしても1924年生まれというのだから、御年84歳?!日本にも90歳を超えてなお活躍する新藤兼人とかいますが、ルメットも大した老人です。

しかし「狼たちの午後」「十二人の怒れる男」「セルピコ」「旅立ちの時」などの秀作を世に送り続けてきた彼が撮りたかったものは、この救いようがない悲劇の連鎖だったんでしょうか?

家族の確執、ドラックへの依存、すれ違う夫婦、ダメダメな男たち・・・なんか見てるだけでドンヨリ暗~くなってきます。いや、何をやってもうまくいかないという閉塞感はすごく良く分かりますよ。でもさ、それを前向きなパワーに変えてくような物語を映画くらい見せて欲しいなあ。現実世界でも暗いニュースばっかりなんだからさ!

ホントに救いようのない話ですね。きっと鑑賞後に「良かった!」と思って帰途に就く人はいないでしょう。外人客がすっごく多かったのは、ルメットの知名度だろうか?

それから!私はどうもフィリップ・シーモア・ホフマンがダメです。キモイ!あの身体を何とかしないと演じる役が広がらないのではないかと。

映画の中でも「父さんはハンク(イーサン・ホーク演じる弟)ばかり可愛がっていた。見た目が可愛いからだろ!?」というセリフがありましたが、「そりゃそうだ」と大きくうなづいてしまいました。彼もブサイクでデブだけど、演技力があって良かったね! ・・・なんか散々こき下ろしてしまいましたが、この辺で。