「イントゥ・ザ・ワイルド」

ショーン・ペン、なかなかやるな~。主人公の青年、そして彼の辿った旅の道程で出会った人々への共感。やっと人生とは何か?生きていくのに必要なものは何か?を掴めそうな時に、散っていった彼の命。そして壮大なアラスカの風景。スクリーンに淡々と焼き付けられたのは、23歳の青年が求めた自分自身、そして私たち自身の姿でした。

into the wild

主人公のエミール・ハーシュは、弱冠23歳ながら、子役時代からの芸歴が長い俳優。私の大好きな映画「卒業の朝」にも出ていたとか。そうか、あの主役を演じたずる賢くもカリスマ性のある悪ガキを演じていたのが彼か・・・。

非常に目力のある俳優なんですね。だから、彼の目を見て「ああ、あの子か!」と思い出しました。

裕福な家庭に生まれ、名門大学への切符を手にしていたのに、クレジットカード、現金、そして身分証明書・・・一切を処分してひたすら北を目指す青年クリス。実在の人物をモデルにしてるというのだから驚きます。非常に純粋な若者だったんでしょうね。物質社会に背を向けて、一個の人間としてどこまで厳しい自然に立ち向かえるか?を試そうとするんだから。

旅の最中、別の人間になりきるため「アレックス・スーパートランプ」という偽名を使ってきたクリス。死の直前に残したメッセージに添えられた署名は、本名の「クリストファー」でした。やっとクリスとして生きてく決意をしたのに、死んでしまうとは・・・。何とも残念ですが、彼が旅の途中で出会った人たちの中にクリスは確実に生きているんでしょう。久々にずっしりくる映画でした。