久々の読書「広告と生きる」

電通大好き!」な同僚の机の上にずっと置いてあった本書。

手にとってページをめくったところ、何と著者のサイン入りですよ!

早速借りて帰って、何となく読み始めたのですが、これが半端ない面白さ!

翌日が休みだったこともあり、夜を徹して一気に読破してしまった。

今年81歳になる電通最高顧問の成田豊氏が、その激動の人生を日経新聞私の履歴書」に綴ったものに加筆。

旧植民地時代の韓国・京城での中学時代に始まり、炭鉱夫や小学校の臨時教員をしながら東大を目指した浪人時代、全く授業に出ず、新宿の魅力にとり付かれた東大時代、そしてどこも入る会社がなく、ギリギリで滑り込んだ電通での新人時代…。

「これが一人の人生に起きうることなのか??」と驚愕するくらい、「ええ~!」「うお~!」という武勇伝の連続。ページを繰る手が止まりません。

読了後、戦後日本の急激な経済成長をバックに、今では考えられないようなスケールの大きい人々と、ダイナミックな仕事をしてきた成田氏始めとする、当時のサラリーマンたちを心底羨ましく思いました。

果たして現代日本に、ここまで豪胆かつ優しく、カッコいい男たちがいるだろうか???

「草食系男子」なんて言葉は存在しません、みんなが「肉食系男子」というジャングル状態!

気がついたのは、成田氏が学生時代からの友人、知人を非常に大事にしているということ。

人にも恵まれたのでしょうが、彼の周りには折に触れて貴重なアドバイスをしてくれたり、手を差し伸べてくれる方々がいたようです。

そして、出色なのは、後に夫人となったみちさんとの出会いを描いたくだり。

「大学四年生の時、ある出版社でアルバイトをすることになった。そこに気になる女性が働いていた…(中略)。やがて彼女は東大野球部の試合の応援に来るようになり、自分は社会人だからと我々にご馳走してくれたりした。(中略)。やがて、私は小さい部屋を借り、彼女と暮らし始めた。」

って、「ええええ~~~!早い!」って驚いちゃいましたよ。

いや、出来る男は、何事もやること早いです。

そして大学卒業時には既に妻帯者。卒業式の写真にも奥さんと納まっています。

惚れますね、成田さん。

数年前、みちさんは他界されたそうですが、成田氏に見染められたからには、すばらしい女性だったんでしょうね。

本筋とは離れますが、Forest的には、このエピソードに痺れました。

良い上司、同僚、部下、そして取引先の人々との出会いが、成田氏を、そして電通を成長させたのでしょう。

もちろん、その出会いを引き寄せる成田氏の人間力あってのことだとは思いますが。

正に「事実は小説よりも奇なり」。

並みの小説よりもずっと読み応えのある、エンターテインメントでした。