唐組舞台、初体験!
唐十郎の舞台を初めて観る機会に恵まれました。
1967年に新宿・花園神社内に設営した紅テントを拠点として「特権的肉体論」を掲げた状況劇場をスタート。
寺山修司らと共に「アングラ四天王」と呼ばれた唐さんですが、恥ずかしながら私は、大鶴義丹の父というくらいの知識しか持ち合わせてなかった(笑)。
場所は井の頭公園内の「木もれ日原っぱ」に設営された紅テント。
「ホントにテントなんてあるのかいな?」と思いながら、吉祥寺から歩くこと約20分。
見えてきましたよ~、紅テントが!
おお!これが紅テントか!?と思うと気持ちも上がります♪
テント前にはお客さんが長蛇の列を作ってます。
いやあ、唐組の固定ファンって沢山いるんですね。
入り口で手渡されたビニール袋に靴を入れて入場。
土足厳禁です!テント内にはござが敷かれ、慣れたお客さんは座布団持参という用意周到ぶりです。
前説や場内整理など全て、既にステージ用のメイクばりばりの役者さんが行うのですが、その機敏な動き、ハキハキした話しぶりには感心。
役者だけでなく、サービスマンとしても完璧な働きぶりです。
余談ですが、唐十郎の立ち上げた「状況劇場」は小林薫、根津甚八、佐野史郎などの役者を輩出しました。
「彼らもこういうことしてたんだ~」と思いながら振り返ると、最後列のイス席に佐野史郎が!
きっと彼らにとっても唐十郎ってあまりに偉大なんだろうな。
さて肝心の劇ですが…。
いやはや驚きました。今回の上演作品「眠りオルゴール」は唐十郎による新作だそうですが、齢67歳にしてあんな支離滅裂な物語をまとめあげるとは!!!
まさに驚愕のひと言。
休憩を挟んでおよそ2時間、殆どがセリフで埋め尽くされている間のない芝居。その会話の殆どが、もう全く思い出せないほどのオリジナリティと脈絡のなさで構成されてるんです。
あのテンポの良さ、奇想天外な発想が67歳の人間から生まれているとは…。
唐さん自身も出演してましたが、すごい存在感です。
病院の用務員さんという、これまた訳分からない役を演じてましたが、彼が出るだけで会場大爆笑。
しかし、常に時代の反逆児として凡人にはなし得ない数々の偉業を達成してきた彼のオーラが、若い人を惹きつけるんでしょうね。
60年代に彼が登場した時の衝撃をリアルタイムで感じでみたいと思った私でした。
両親とほぼ同世代ですから、今度その辺の話を聞いてみようかな~。
舞台のエンディング。
ステージ後ろの扉が開かれます。
そこは文字通りの屋外。夜の帳が降り、鬱蒼とした木々がかすかに見える。その中を主人公の2人が去っていくのです。
遠く、もっと遠くへと。
暗闇の中に消えていく2人の姿を見ながら、「これこそテント芝居の醍醐味だなあ」と鳥肌が立つのを感じました。
自分が信念を持った一つの事を40年以上続ける凄み…。
唐十郎という存在に圧倒された夜でした。