「ビールストリートの恋人たち」⭐️⭐️⭐️⭐️

機内で鑑賞。

「ムーンライト」でアカデミー賞を受賞したバリー・ジェンキンス監督が、1970年ニューヨークのハーレムに生きる若い黒人カップルの愛と信念を描いたドラマ。

妊娠中の若い女性とその家族が、無実の罪で逮捕された婚約者の罪を晴らそうと奔走します。

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Forestにとってニューヨークは未踏の地。イメージは「Sex and the City」あるいは「ゴシップガール」の舞台である、アメリカで最も進歩的で前衛的な国際都市。

しかし今からわずか40年前には、黒人というだけで問答無用の差別が横行していた・・・という事実に驚愕です。

若いカップルを演じたキキ・レインとステファン・ジェームズが、ひたすら可愛らしく美しい。

彼らの望みは、愛する人とささやかでも幸せな家庭を築くこと。

それすらが実現できないという過酷な現実。

この時代の人々からすると、後年に黒人大統領オバマが誕生することなんて想像すらできなかっただろうなあ。

物語のテーマは重く、救いようのないものですが、若いカップルが愛を育む様子、そして見守る家族たちの姿が、ただただ美しく描かれます。

しかしながら、無実なのにそれを証明できない憤り、生まれてくる我が子を抱きしめることのできない立場を受け入れざるを得ない苛立ちと諦め・・・が、映画の主旋律として静かに流れていきます。

物語が終わった時、エンドロールに表示される「If Beale Street Could Talk(ビール・ストリートに口あらば)」という原題が重く迫ってきます。

そうです、誰が実際に罪を犯したのか?誰が無実なのか?知っているのはビール・ストリートのみ。でも、ビール・ストリートは何も語ってくれません。

これはラブストーリーなのか?それとも、かつて存在した黒人差別を訴えたい社会派映画なのか?

しかし、見終わって思い出すのは、若い黒人カップルの美しいラブシークエンスの数々です。